笑う男

今日のストーリー
jplenio / Pixabay
山田太郎は昼間買い物に近くの雑貨屋まで歩いて行った、 彼はすでにリタイアしてタイのチェンマイの近くの小さな村で暮らしていた。 歳はすでに70歳をこえて、タイ人の妻と仲良く暮らしていた。 その村には日本人は住んでいなかった。そしてその村を訪れる日本人は いなかった。村のはずれには古いタイのお寺があり、そのお寺の近くに ある雑貨屋に太郎は食料や日常品を買いに行った。 その村には昔からの伝説があった。それは、太陽が2つ昇る日に 寺の前で笑いながら近づいて来る男と握手をしてはいけないという 言い伝えだった。その笑う男と握手を すると、その男の呪いによって死んでしまうという話だった。 太郎はその村に住んですでに10年が過ぎていた。 そして、妻のペンタンがときどき話すその言い伝えなど信じていなかった。太陽が2つ昇る日などあるわけがないと太郎は思っていた。 ”寺の前で笑う男にあったらきをつけるんだよ。” ”ああ、わかってる、わかってる。” いつものことなので、太郎は妻の話を聞き流して家を出た。 その日も暑い太陽の日差しが強い日だった。 ただ、太陽が2つ昇っていたのだ。 サクサク、サクサク、舗装されていない田舎道を太郎は 雑貨屋をめざして歩いて行った。 暑い昼間なので、誰にも出会うことはなかった。 遠くで犬が吠えている。 その鳴き声は寺に近づくにつれて大きくなってゆく。 一匹の牛がのんびりと草を食べている。 いつもと変わらぬ一日だと思った。 遠くに村はずれの寺が見えてきた、僧侶の読経の声が聞こえた。 何か読経がいつもとはちがうなと太郎は思った。 心がしだいに悲しくなり、不安になった。 なぜか、道を引き返し家に帰ろうかと思った。 振り返ると、そこに来た道がなくなっていた。 そこにあるのは暗い森だった。 怖くなって、また前を見ると、はるか先に寺が見えた。 進むしかないと太郎は思った。 私はいったいどこにいるのだろうと太郎は思った。 寺の近くまで行くと、、向かい側からこちらに向かって 歩く人の姿が見えた。太郎は走った。その人にあって話をしたくなった。 しだいに、その歩いてくる人の姿が見えてきた。 老人のようだった。うつむきなが歩いてくるので顔がよく見えなかった。 やっと、その男のすぐ近くに来たので太郎は手を差し伸べて言った。 ”こんにちは、どうやら道に迷ってしまいました。助けてください。 いつも歩く道なのに迷うなんて。” 私は思わずおかしくなって笑った。 その男は、突然、顔をあげて太郎の顔を見た。 そして、叫び声をあげて逃げてしまった。 私はその男の顔を確かに見た。 その男は私だった。 ”あんた、はやく買い物にいきなさいよ。いつまでも寝てないで。” それは妻のペンタンの声だった。 私は悪い夢をみていたようだ。 ”寺の前で笑う男にあったらきをつけるんだよ。” ”ああ、わかってる、わかってる。” いつものことなので、太郎は妻の話を聞き流して家を出た。

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