【SFショートショート】にゃんにゃんおじさんの食い逃げ計画

今日のストーリー

 

山田太郎は今年で60すぎの静岡出身の身寄りのないおじさんだった。 若い頃は、静岡の老舗のうなぎ屋で働いていたが、うなぎ一筋の人生を過ごしてきたため、60歳になってから、バンコクにきてうなぎ屋を開店しようとしたが、うまくいかず、結局、バンコクのうなぎや”うなぎ天国”という店の雑用係として働いていた。 太郎の好物はもちろんうなぎだ。でも、雑用係の給料では、うなぎは食えなかった。昔のように、うなぎの蒲焼を死ぬほど食いたかった。しかし、金がないので食えない。しかたがないので、太郎は知り合いの猫好きの社長の猫のめんどうをアルバイトでしていた。 タイ人の間では毎朝、犬のように猫にひもをつけて散歩をしてる太郎の姿をみて、知らない間に、太郎は”にゃんにゃんおじさん”と呼ばれていた。 太郎は毎日、接客でお客にうまそうな本格的静岡産のうなぎの蒲焼を運ぶたびに、いつか食ってやる、いつか食ってやると思っていた。 そして、ある日、決心をした。 食い逃げをする決心をした。 その計画とは、客に持っていくうなぎをトイレの中で食って そのままわからないように変装して店に出て逃げてしまう計画 を考えた。しかし、それでは、店にもどって働けなくなってしまう。 それでは、だめだ。 変装して店に行き、うなぎをトイレで食べて、そして いつもの太郎にもどって働く、これならうまくいきそうだと 思った。 問題は変装だった。最初は女装しようかと思ったが、 もとにもどるのに時間がかかりそうだ。 太郎はスーツを買って、駐在員に変装することにした。 いや、それも時間がかかりそうだ。 それなら、タイの金落ちのおじさんに変装しようと思った。 ジーンズにT-シャツ、そしてサングラスに口ひげ。 これなら、すぐに、いつもの太郎にもどれる。 犯行当日、太郎は店に電話して、体調がすぐれないので 病院によってから行くと電話した。 店の方も、休んだことのない太郎が病院に行くのだから よほど体調がよくないのだと心配した。 開店と同時に太郎は変装して店にいき、特上のうな丼を注文して食べ始めた。太郎は幸せだったが、ふと、気がついた。このうなぎは、静岡のうなぎではないと思った、そして、さらに、これはうなぎではないと思った、 そのときだった、いつも太郎がめんどうをみている知り合いの社長の猫がやってきて、太郎の膝の上に乗って、太郎が食べてるうな丼が食べたいと、”にゃー、にゃー”と鳴き始めたのだ。店員たちはすぐに、うな丼を食べているのが太郎だとすぐにわかった。 ”あんた、病院に行ってるんじゃなかったの。” ”なんで、そんなかっこしてるの。” ”変装して、食い逃げしようと思ってたんじゃないの。” みんなからの質問攻めに、どおすることもできなくなって、太郎は立ち上がって逃げようとした。 すると、どこからともなく、長いタコの足のようなものがあらわれて太郎の首にまきついた。それは。エイリアンの姿にもどった店の店長だった。 ”食い逃げはあかんで、わいが喰ったるで、覚悟してんか。” エイリアンにもどった店長は一口で太郎を食べてしまった。 うな丼のうなぎの正体は、冥王星のうまぎによくにた”ピヨロン”という 生物で、この店は冥王星人の店だったのだ。

にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ
にほんブログ村